The Witch of The West is Dead 西の魔女が死んだ

サチ・パーカーインタビュー 1/2

私には毎日のちょっとした変化が楽しみなんです。だから変化を前もって知る必要はありません


写真:静かにうつむいているおばあちゃんの横顔。

Q:原作を読まれていかがでしたか?

今日、忘れ去られている日本人の精神が入っていて、とても感銘を受けました。一般的に「おばあちゃん」というものは、年齢を重ね人生経験豊かなので、様々なことを悟っているものです。ですから、こんなとき、あんなとき、祖母だったら何て言っただろう、と思えます。
私の祖母はすでに亡くなっていますが、自分がおばあちゃんを演じて、彼女への思い出と重なりました。もし叶うなら祖母のアドバイスをもらいたい。もう失ってしまったから、余計に欲しいと感じる時があります。
そんな優しい想い出が凝縮されている宝物のような作品だと思いました。

Q:この役を演じるにあたり、日本での撮影や日本語に対しての不安などありましたか?

キャラクターが体に入り一体化しているから、歩き方一つとっても、リラックスして演じられました。

Q:日本語はどのようにしてマスターしましたか?

2歳から12歳まで日本に住んでいたので、自然と覚えました。
日本語を勉強という形で取り組んだ記憶はないですね。ただ、今回の日本語のセリフは難しかったから、勉強しましたよ。

写真:やわらかい陽射しをあびて満面の笑顔を浮かべるおばあちゃんを演じているサチ・パーカーさん。

Q:長崎監督との仕事はいかがでしたか?

アメリカの映画撮影現場では、始めに監督とディスカッションをするのが普通です。キャラクターをどう演じればいいのか、セリフ回し、見え方などなど、とことん話し合います。ディスカッションがヒートアップして口論になることもしばしばあります。とにかくぶつかりあっても話し合う。そうやっていいものが出来上がっていく。そういったことに慣れていました。
けれど長崎監督は全く逆でした(笑)。顔合わせの初日でアメリカの監督のやり方とは違うとわかりました。なので、この現場では、100%監督を信用して、臨もうと思いました。そう決断したら、自由になれました。
また、監督は信じられないくらい繊細な人です。女優と監督が同じ目線ということは経験上ありえないのですが、奇跡のように全く同じ感覚で進むことができました。監督とシンクロしていたのです。それはとても大事なことです。今までで一番最高の監督でした。もう一度、一緒に組みたいと思うほど長崎監督のことは大好きです。
アメリカの監督は、テイクを撮ると「ザッツ・グレート!」と1テイク目から言います。長崎監督は何にも言いませんし、褒めてもくれない。泣いたときもありましたが、結局、褒めてくれないから自由になれました。評価を明確にされない、ということは自由だったのです。監督の表現の仕方は自由です。皆に選択肢があり、学ぶことも多々ありました。
これから仕事するときは、褒めてくれなくていい、とアメリカの監督に言うつもりです。なぜなら、褒められるとプレッシャーになるでしょう? 長崎監督は、繊細でエモーショナリーで、神経質。人は、日常ではあまり感情を抑制したり隠したりして露にしないので、大げさに感情を見せて演じることがいいと思っていました。けれど、それはリアルではなかったのです。不自然なことだと思うようになりました。

次のページへ

▲ページのトップに戻る